伊豆大島には謎の地名が多い。

「クダッチ」が一番有名だと思うのですが、まずは単刀直入に見てもらった方が早いと思います。簡単に以下に示します。

「アジコノナホウ」「エンシュウアイノウ」「ツボツボ」「ヲヲット」「イタイノサワ」「ツワイ」「ヨホヲ」「間伏ナゴヲ」「間伏サハマ」「アクゴウ」

わかりませんね(絶望)?他にもいつもNAVI 「クダッチ」というサイトでデフォルト表示から「街歩き地図」にして拡大するとたくさん見つけることができます。伊豆大島西部が特に多いです。以下の各項目を見る際は参考にしてみてください。

さて、頑張れば日本語として解せそうなのもあれば、これ本当に日本語か、、?アイヌ語とかじゃないんか、みたいなものも多いと思います(アイヌ語エアプ)。

伊豆大島には普通の漢字の地名も多いのですが、これらはこのまま行政地名として機能しているみたいです。自分も最近知ってかなりびっくりしました。

ただ、その語源については管見の限りでは、ブログからTwitterまでネット上ではまったくと言っていいほど説明を与えたものがありません。ちょこちょこ話題にはされてるんですが、気になるな〜で終わっているものばかりでした。

この記事では、その伊豆大島のカタカナ地名について、伊豆大島方言の音韻体系の観点から解読することを試みます。

すなわち、ある一時点における伊豆大島および周辺で話される方言の共時態において、地名が一斉に名付けられた。という仮定のもので論じます。

以下ではまず、伊豆大島方言の音韻規則をまとめてから西部、南部、北東部の順に地名を一つずつ見ていきます。(一応)解読できたものだけでも37個と結構量があるので、通読するのはお勧めしません。

伊豆大島方言の音韻規則

金田一(1943)を基礎として、加藤(1960)、柳田(1942)を参考にしながら、便宜的に中世中央日本語を祖形として、地名命名時の伊豆大島方言の音韻体系を生じた過程として以下を想定する。伊豆大島方言(基本は元町方言)の語形もできれば示す。

ただし、本稿に関わりのあるものといくつか目立つもののみを示すことを断っておく。なお、/s/[s]~[ʃ] /z/[dz]~[dʒ]として/s//z/の音声実現は省略する。

以下は母音である。短母音から。

e, je, we > je/#_ 「選ぶ」jerabu 「枝」jeda「絵」je
e, je, we > i /{a, o}_ 「名前」namai「燃える」moiru (合流した後に起きていると思う)
e > o/u_ 「杖」tsuyo
i > e/#Ce 「消える」keeN
o > wo/{#,V}
「驚いた」wodoroita 「青い」awoi(在証されるのは利島方言だが伊豆大島でも起きていたと考える。)

二重母音。以下以外の融合はない。

au, ou > oo
ei > ee
io > oo 「地親」zjooja

以下は子音である。まずは全般。

C[-voiced] > C[-voiced]~C[+voiced]/V_V 「行く」igu
C[+voiced] > C[+voiced]~NC[+voiced]/V_ 「蛇」heNbe
k > h/V_V 「息」ihi(ただしハ行音や無声母音に後続するときは例外)
s > Ø/V_i 「差して」saite
pi > si/# 「人」sito
p > w/V_V
di, zi > zi
du, zu > zu
r > r ~ d ~ dz/#_ 「来年」daisen
re > ra/_# 「汚れ」jogora
{ni, nu} > nj(u) 「虹」njuuzi 「お前(主?)」nj(u)si
sju > si 「無宿」musiku

ワ行のワ。

wa > ba/#_ 「綿」bata
wa > a/a_ 「川」kaa
wa > ja/i_ 「皺」siya
wa > ba/e_ 「世話」seba
wa > wa/u_ 「桑」kuwa (変化しない)
wa > wo/o_ 「ぶっ壊す」bukkoosu
wi > i

オとヲ周りの地名表記について整合性を取るために以下のように整理する。

規則の順:上から順に適用
★VpV > VwV 上記の p > w/V_V
☑️Vwo > Vo
⭕️owa > owo 上記のwa > wo/o_
⭐️#o > wo、oo > oo(「ヲク(奥)」のせい。二重母音には適用しない。)
(地名表記後)wo > o

例:「意味」、語形変化、「地名表記」
「奥」 oku >⭐️ woku 「ヲク」
「大」opo >★ owo > ☑️oo 「オオ」
「終わ」 wopa >★ wowa > ⭕️wowo 「ヲヲ」
「壊す」kopa > ★kowa > ⭕️kowo  >(地名表記後)koo

ヤ行

jo > ju/_w 「弱い」juwai
ju > Ø 「無宿」musiku

以下は特殊拍である。

動詞の終始連体形がn音便化する。-ru > N 「伸びる」nobiN
n音便は無声子音の前で促音化する N > C₁/_C₁[-voiced]

西部の地名

アジコ

「阿治古」adiko > aziko

少し北の沿岸部に阿治古命(アジコノミコト)を祀る大宮神社があることからして、明らかだろう。阿治古命の語源には踏み入らない。大変なので。

大宮神社の由緒書きによると、阿治古という地域の集落が大宮神社の南の山中にあって、三原山の噴火降灰を逃れて室町時代にその地の「阿治古神社」を遷座したものが現在の大宮神社であるらしい。 由緒書き

阿治古命(あじこのみこと)は、伊豆大島を作ったとされる事代主神(三島大明神)と后の一人・波布比咩命(波布比咩命神社の祭神)との間の長子であるらしい。弟は波治命(波治加麻神社の祭神)。 Wikipedia 大宮神社 (大島町) 伊豆大島ナビ 波布比咩命神社

アジコノナホウ

「阿治古の中府」naka-pu > nakawu = nakau > nakoo > nahoo

「アジコ(阿治古)」は上の通りである。そして「アイノウ」「アイノナホウ」を考えると、「アジコ-ノ-ナホ-ウ」が良さそうだとの見込みがあった。「ノ」は属格であるとして「ナホ-ウ」とは?

語中のハ行は伊豆大島ではカ行に由来するのであるから、「ナコ-ウ」に由来するのはほぼ確定であるが「ナコ」は思い当たらないため、「中(ナカ)」をあてる。香川県に中府(なかぶ)村がある。「府(ふ)」については「アイノウ」参照。

アイノナホウ

「東の中府」api-no-naka-pu > aino-

「アイ-の-ナホウ」だとして、「アイ」とは?ここであてた「あい」とは、 「東の風」を表す単語「あいのかぜ」の前部要素である。これは主に越地方(現在の福井県から新潟県に至る)で使われるとされ、静岡県でも「あいざあ」「あいざめ」が在証されている。

そして、「アイノナホウ」は「アジコノナホウ」に対して北東、伊豆国(静岡県)からも東に位置することから、これは「東のナホウ(中府)」と解する。

アイノウ

「東の府」ai-no-pu > ainowu = ainou > ainoo

「アイ(東)-の-ウ」であるとして「ウ」とは?まず、uという名詞は「兎」「鵜」ぐらいであって地名になるとは考えにくい(余談だが伊豆大島にはウサギが生息していないらしく「うさぎの森」という交流施設がある)。

とすれば、puを考えるとわずかに「府」「生」「火」「布」「傅」などが見つかるが、ここで「アイノウ」は他の「-ウ」の地名が西南部に集中しているのにも関わらず、「アイノウ」だけが西北部に位置すること、いずれもかなり沿岸部で現在においても大きな道路沿いにあることに気づく。とすると、交通の便が関係し、離れていても同じ名称で呼びうる「府」(倉庫ないし役所)がもっともらしいように思うのである。

エンシュウアイノウ

「遠州東の府」(j)ensjuu-ai-no-pu

「アイノウ」は上の通りであるが、「エンシュウ」は拗音があることから漢字音である可能性が高い。そう考えたときに思い浮かんだのは「遠州」であった。「遠州」とは遠江国の異称であり、現在の静岡県の西部にあたる。

ただし伊豆大島を管轄していた伊豆国は遠江国とは駿河国を挟んで静岡県の伊豆半島に位置しているのであり、「遠州」ではない。「遠州(南)寄りの東の府」であるというのが無難か。いずれにせよ「遠州」以外に「エンシュウ」は思いつかない。

タホウ

「高府」taka-pu > takawu = takau > takoo > tahoo

「アジコノナホウ」「アイノナホウ」「エンシュウアイノウ」よりも三原山に近く斜面の高くに位置する。したがって「高い府」であるだろう。

オミドウ

「お御堂」omidau > omidoo

近くに「みたき堂」という地名があることから、「お御堂」で良いのではないか。また、近くに薬師堂がある。由緒書きによると明治初年ごろまで全村による祭礼が行われていて、平成5年ごろでも正月に参拝されているようだから、地名になっているのもさもありなんという感じだ。由緒書き

ツボツボ

「坪坪」tubo-tubo

明らか同語反復だろう。某ポケモンが思い浮かぶがあっちは「壺壺」っぽい。伊豆大島方言では村内の部分的な一塊の場所や、風のために選んだ(?)低地の一団の家々のことをツボというらしい。

タデアラ

「蓼荒れ」tade-are > tade-ara

山の中。一応タデ科のハチジョウイタドリが生えている。タデ属ではないけど、、。「ハチジョウイタドリで荒れている場所」と解する。

クヅアラ

「葛荒れ」kuzu-are > kuzuara

だいぶ沿岸。「タデアラ」と並行して「葛が荒れている場所」で解する。ヅなのは単純に四つ仮名の表記上の混乱と見ていいんだろうか。

ヲヲット

「終わる堵」woparu-to > ★wowaruto > ⭕️woworuto > wowoNto > wowotto

まず、「ット」からして促音便ないし撥音便が関係しているだろうとの見込みで「ヲヲット〜ヲヲント」が考えられる。そして伊豆大島方言では動詞連体形の-ruがn音便化するのであるから「ヲヲル-ト」がありうる。そして「ヲヲ」という表記上、woworuが想定されるので単独の動詞であるとしたら「終わる」ぐらいしかこれになりようがない。

したがって「終わる-ト」とすると、「堵(垣根)」「外」「所」「戸」などが思いつくが、ここでは「ヲヲット」が三原山の麓から山頂まで続いていて、そしてちょうど山頂との境に垣のようにせり上がっているところがあることから、「(登山道が)終わる垣根」と解する。あるいは単純に「所」でもよいかもしれない。

ヤエノウツ

「八重のうつ」jape-no-utu >jaenoutu

伊豆大島方言で山畑の入り口を「ウツ」と呼ぶらしい。牛小屋の出入り口の棒のことも言い、かつては野牛の侵入を防ぐ戸が畑にあったらしい。つまりは「たくさんの防獣扉(がある場所)」だろう。他の方言では「うつ」は獣道(道の「ち」と同根か)のことらしく、実際あまりにも山すぎるのであるいは「たくさんの獣道(がある場所)」かもしれない。

カブナイシ

「鴎石」kabuba-isi

伊豆大島方言で鳥やかもめのことを「かぶな」というらしい。「かぶな石」というのが具体的に何を指すのかはよくわからないが。「鴎石」と書くと文豪カップリングの略号っぽい。

イタイノサワ

「潮江の沢」ita-je-no-sawa > itainosawa > itainosawa

「イタイ-の沢」は良いとして「イタイ」とは?まさか「痛い」?流石にそれは馬鹿げているのだが、常陸国誌に出てくる「潮」の古名「いた」が思いつく。茨城県南東部に「潮来(いたこ)」という地名があり、静岡の方言でも波の静かなことを「いた」というので「潮(いた)-イ-の沢」ではないだろうか。

「イ」については北海道の沢江(さわえ)町や江野沢という苗字を踏まえて「潮江の沢」、すなわち「静かな海岸」と解しておく。

オオノヤマ

「大野山」opo-no-yama > ★owonoyama > ☑️oonoyama

三原山の斜面のことを指すか?

ヲクノクボ

「奥の窪」 oku-no-kubo > ⭐️wokunokubo

地理的にはあまり奥という感じも窪という感じもしない。

ワダ

「綿」wata ~ wada

伊豆大島方言で「浦曲(うらわ)や入江」や「網の真ん中」のことを「ワダ」というらしい。とすると、凹んだ中心を指していそうなので「はらわた」などの「綿」であるように思う。あるいは「海(わた)」か。

ツド

「津所」tudo

伊豆大島方言で高いところを「ツド」というらしい。比較的沿岸にあるので「津所」とあてたが、高いところという意味は二次的な派生だろうか?

ツワイ

「津這い」tupapi > tuwawi > tuwai(> tubai)

伊豆大島方言では沖にある浅瀬のことを「ハイ」、満潮時のことを「ツバイ」という。これは柳田(1942) によるのだが、金田(1943)は「桑」kuwaのようにワ行音はuの後でバ行音化しないと言っていたことを考えて、少なくともこの地名が表記された時点ではtuwaiであったと考えることで整合性をとる。「(海が)海岸に広がってくる(場所)」と解する。

ハギノヲ

「萩野尾」(☑️Vwo > Voの後に)pagi-no-wo > haginowo

「ヨホヲ」と対照して「ハギノ-ヲ」という見込みがある。であれば「ヲ」とは?これは丘(ヲカ)や尾上(ヲノヘ)を構成する、山の高いところを指す名詞「ヲ」だろうか。「ハギノ」は「萩野」ないし「萩の」だろうが、地理的に「ヨホヲ」よりも沿岸部寄りのなだらかな位置にあるので「萩野」で「萩の生えた平らな山裾」とでもした方が無難だろうか。

ヨホヲ

「横尾」joko-wo > johowo

「ハギノヲ」より「ヨホ-尾」である。語中のカ行子音はハ行子音に由来するので「横尾(ヨコヲ)」だと予想がつく。「(三原)山の横にある場所」だとすると「ハギノヲ」との地理的な関係が説明できる。

カレマツ

「枯れ松」kare-matu

これ自体は特にいう事がない。

カラサワ

「涸ら沢」kara-sawa

これは伊豆大島方言でkare > karaが単独生起で起きたとするより、本土で在証される「涸ら」(水がなくなること)の借用で説明した方が良いだろうか。伊豆大島では火山のおかげでほぼ水地がないので「干上がった水地」を指すか。

カジガサワ

「鍛治が沢」kadi-ga-sawa > kazigasawa (> kazigasaa?)

利島の噴火口はカジ穴というらしい。全国にも鍛治が沢がある。ただし、「沢」がsaaになっていないのが気になる(「障る」はsaaru)。これも沢という割には水は全然なくて森しか見えない。元はあったのだろうか。

ノムナカ

「野中」no-naka ~ noNnaka

「ノム-中」はおそらく良いだろう。「ノム」は他の解釈もあるかもしれない。

ヲワナ

「小罠」(⭕️owa > owo後に)wo-wana

wowoになっていないことからして「ヲ-ワナ」だろう。秋田県に「大わな」という地名があることや「ヤエノウツ」を考えれば許容ラインか。

その他よくわからないもの

シッタリ 「シッ-タリ」海近く人のでて沖などを眺める場所を「タリ」というらしい。わかりそうで分からない。
タカビタイ「高潮江」taka-wita-je > takawitai > takabitaiかとも思うが、wi > biが在証されない。
ヤタロウ「矢太郎」「弥太郎」?地名としては一応ある。
キバシノヲ「木橋の丘」?
ユウフツ 「矢ウクツ」?
ホソノホロ 「細野頃?」「風呂桶」suirokeみたいな交替と関係あるだろうか。
ゼンニャウ 漢字音だろうか。あまりに例外的なので伊豆大島方言でオ段長音の開合はないと見なしている。ちなみに近くに「若(ニャク)」を含む地名があるが王若(おうわか)であるらしい。
オンダシ 「追い出し?」

南部の地名

クダッチ

「下る地」kudaru-ti > kudaNti >kudatti

漢字表記の「下地」は後付けとも言われるが、「ヲヲット」と同様、「ッチ」を考えると動詞連体形の末尾が促音化していると考えるのが無難だろう。伊豆大島方言で島内や当村のことを「ジ」といい、本土を「クニチ」というらしいから、「下ったところの島村」という意味か。

間伏ナゴヲ

「余波尾」nago-wo

「ハギノヲ」「ヨホヲ」からして山の高いところを指す名詞「ヲ」(cf. 丘、尾上)で良いだろう。では「ナゴ」とは?

伊豆大島方言では「ナゴ」という場所を指す言葉があり、特に力弱い女性のためだけの貝の採取場のことらしく、伊豆大島の人は女子(ヲナゴ)の浜に由来するのと思っていたらしい。

ただ、おそらくは「余波(なごり)」に関係するだろう。現在は「名残り」と書くが、本来は浜に打ち寄せた波が引いたあとに残っている海水や波などを指し、「波残り」に由来するともいう(これが正しいかは分からないが)。また「なご」というのが穏やかな場所を指すのは他の方言でも在証される。仮に「余波(なごり)」に由来するのであれば、「ナゴヲ」を「余波-尾」、すなわち、「穏やかな浜の小高いところ」と解せるだろう。現在でも「ナゴヲ」を下ったところに浜がある。

間伏サハマ

「然浜」(★VpV > VwVの後に)sa-pama > sahama

「サ-浜」だとして「サ」とは?間伏サハマよりは下るが現在「砂(さ)の浜」と呼ばれる浜がある。おそらくこれと「サハマ」は同源だろう。だからこそ「サワマ」にハ行転呼しなかったのだと説明できるからだ。

ただし「砂」の意味で「サ」の和語はないし、漢音で読んで単独で使うのも奇妙には感じる。「坂(さ)」や「矢(さ)」の可能性も思ったが、ここではより一般にあり得そうな「然の浜」、すなわち「あの浜」で解しておく。

間伏アカミズ

「赤水」aka-mizu

伊豆大島方言で大波の後の静かな波の状態を(「ヨド」や)「アカ」というのと関係あるだろう。また、「アカ(船水)」ともいい、船を洗うことを「アカサラヒ」ということからして、水垢から来てる気もする。沿岸から離れているのはどうしてだろうか。

間伏カヘシノミズ

「返しの水」kapesi-no-mizu > kaesinomizu

文字通り読んだだけである。ただし、「へ」で表記されているのは「クヅアラ」同様、単純に規範的な仮名遣いの問題だと考える。これも沿岸部からは遠い。

間伏フナバタ

「船端」puna-bata > hunabata

これも文字通り読んだだけである。沿岸部からは遠い。

間伏ヤケドマリ

「焼け泊」jake-domari

「焼け止まり」かとも思ったが、ここで溶岩が止まると思えなかったので「ヤケダチ」との並行性から「焼けた宿泊場所」として解した。

間伏ヤケダチ

「焼け館」jake-dati

文字通り読むとこうなる。「焼けた建物」があったのか、「建物を建てると焼ける場所」という注意喚起なのかは気になる。

その他よく分からないもの

間伏シシブシ「獣伏し?」
トウシキ(の鼻) {トー~タウ~トワ}{シキ~ヒキ}「外国人」トウジン(唐人?)は関係あるか、、?トウドンミチという、トウドン(神主の役職、「頭殿」?)が行事で通る道と関係あるか?

北部および東部の地名

アクゴウ

「灰が府」aku-ga-pu > akugawu = akugau > akugoo

「アイノウ」などの議論より「アクガ-府」であるだろうと見込みがあり、さらに属格の並行性から「アク-が-府」と考えられる。初見では「悪」にしか見えないのだが、流刑地とはいえ地名にするかなり抵抗があるので「灰(あく)」を当てた。「灰(あく)」は「灰汁」の他に、八丈島などで「灰(はい)」を表す。「灰が積もっているところの倉庫ないし役所」と解する。

クサレブチ

「腐れ淵」kusare-buti

文字通り読んだだけである。意図するところは正直よく分からない。

ゴゼ川

「御前川」 goze-kawa

情報がなさすぎてはっきりしないが、伊豆大島で信仰されていた三原山の山肌を流れるので、その御前の川とでも解せるだろうか?

よく分からないもの

アタカイ 「アタ貝」「アタ交ひ」だろうか、、?

終わりに

結構分からないものも残りましたね、、、。歴史に詳しい人や伊豆大島に馴染みのある人、言語学に詳しい方はツッコミどころや僕より筋の良い案を出せると思います。思いついた方がいたら教えてください。

でも自分としては結構満足しました。沖縄といい、島ってロマンがありますよね。伊豆大島いつか行ってみたいです。

参考文献

  • 加藤信昭(1960)「伊豆諸島方言の音韻 北部伊豆諸島を中心にして」『音声学会会報』103: 12-15
  • 金田一春彦(1943)「伊豆諸島の音韻とアクセントところどころ」『方言研究』8: 47-65
  • 柳田国男(1942) 『伊豆大島方言集』中央公論社:東京

資料

  • 日本国語大辞典第二版編集委員会・小学館国語辞典編集部 (編)(2000)『日本国語大辞典第二版』小学館